求人票の次に見られる場所として、自社サイトの採用ページを整える

求人媒体に出稿し、人材紹介にも声をかけている。それでも応募が思うように増えない——という相談は、採用の課題であると同時に、サイトの課題であることがあります。応募を検討している人のほとんどは、求人票を読んだあとに社名で検索し、その会社のサイトを見に来るからです。そこで出てくるのが「採用情報」というリンクだけで、中身が数年前のPDFだったり、電話番号しか書かれていなかったりすると、その時点で検討が止まります。ここでは、採用ページを立派に作り込む話ではなく、求人票の次に見られる場所として最低限どう整えるか、そして自社サイトの中でどこまでやれば十分かを扱います。

求人票の次に確認されるのは、待遇ではなく「実在感」です

求人媒体の求人票には、仕事内容も給与も勤務地も書いてあります。それでも社名で検索されるのは、条件の確認ではなく、この会社が実際にどういう会社なのかを見に来ているからです。事業として何をしているのか、どのくらいの規模なのか、取引先はどんな業種なのか。求人票では分からない部分を、会社サイトで補っています。

そのため、採用ページを豪華にする前に、会社概要・事業内容・所在地・沿革といった基本のページが読める状態になっているかのほうが効きます。特に、写真がフリー素材だけで実際の職場が一枚も出てこないサイトは、応募検討者から見ると判断材料がありません。

そのうえで、採用ページに置いておくと確認の手間が減るのは次のような情報です。どれも珍しい情報ではなく、社内では当たり前すぎて書かれていないものばかりです。

  • 現在募集している職種の一覧(募集していない時期は、その旨を書く)
  • 勤務地ごとの実際の所在地と、最寄り駅からの経路
  • 入社後にどの部署の誰と働くのか、チームの人数感
  • 1日の流れ、または繁忙期と閑散期の違い
  • 応募から入社までの選考ステップと、おおよその連絡タイミング
  • 中途採用の場合、前職の業種に決まりがあるかどうか

募集要項は職種ごとに1ページ、URLは変えずに使い続ける

よくあるのが、採用ページ1枚の中に複数の職種を並べ、募集が変わるたびに書き換えてしまう構成です。読み手にとっては目的の職種にたどり着きにくく、検索から直接その職種のページに来てもらうこともできません。

職種ごとに1ページに分け、そのページのURLを固定して使い続けるほうが、運用としても楽になります。募集を再開するときに新しいページを作り直す必要がなく、求人媒体や求人検索エンジンからの流入先としても安定します。

そして、意外と抜けるのが掲載終了時の扱いです。募集が終わったページを消すのか、募集終了と表示したまま残すのかを最初に決めておかないと、終わった求人に応募が来る、あるいは検索結果に残り続ける、という状態になります。運用としては、ページ自体は残して募集状況を明記し、次の募集で再開する形が扱いやすい方法です。

求人検索エンジンに拾われるページには、書き方の条件があります

求人検索エンジンは、企業サイトの求人ページを収集して掲載する仕組みを持っています。拾われるかどうかは運ではなく、ページの書き方に条件があります。職種名、雇用形態、勤務地、給与、掲載日といった情報がページ上で判別できる形になっていること、そして募集ごとにURLが分かれていることが基本です。

技術的には、求人情報の構造化データ(JobPosting)を実装しておくと、検索エンジン側が情報を読み取りやすくなります。Google 検索セントラルが求人情報の構造化データについて公開しているガイドラインでは、募集の有効期限や、掲載終了時にページをどう扱うかについても説明されています。制作会社に依頼する場合は、この実装が対応範囲に入っているかを見積もりの段階で確認してください。

なお、募集にあたっては職業安定法により労働条件の明示が求められています。明示すべき事項は改正を重ねているため、自社の募集内容が現行の要件を満たしているかは、厚生労働省が公開している募集・採用に関する案内で確認するか、社会保険労務士に相談するのが確実です。サイト制作側で判断できる範囲ではありません。

応募が止まる場所は、ほとんどが応募フォームです

採用ページまで読み進めた人が離脱するのは、たいてい最後の応募フォームです。スマートフォンで見ている人に対して、履歴書と職務経歴書のファイル添付を必須にしていれば、その場では応募できません。「あとでパソコンから」と思われた応募は、ほぼ戻ってきません。

現実的な設計は、最初の接触を軽くすることです。氏名・連絡先・希望職種・簡単な経歴だけで受け付け、書類は選考の次のステップで受け取る。この2段階にするだけで、応募数の目減りは抑えられます。

もう一つ、日本の中途採用では在職中の応募が多いため、連絡手段と連絡可能な時間帯を選べるようにしておくと、その後のやり取りが早くなります。電話がつながらないまま数日が過ぎて選考が流れる、というのは避けられる損失です。

  • 入力項目は、選考の第一段階で本当に必要なものだけに絞る
  • ファイル添付は必須にせず、任意または後段のステップに置く
  • 送信後の自動返信で、次に何が起きるかと連絡目安を伝える
  • 応募内容の受信先を個人のメールアドレスにしない(担当者が不在でも見られる状態にする)
  • スマートフォンでの表示と送信を、実機で一度は通しで確認する

採用サイトを別に立てないほうがよい場合

採用サイトを独立したドメインで作る事例は多くありますが、すべての会社に必要なわけではありません。年に数名の採用で、募集が特定の職種に限られているなら、企業サイトの中に採用の階層を持つほうが管理も更新も現実的です。別サイトにすると、更新の手間が二重になり、結果として両方とも古くなります。

独立させる価値が出てくるのは、複数職種を常時募集している、新卒採用で会社説明の分量が大きい、採用広告を継続的に出しており流入先を分けて計測したい、といった場合です。逆に言えば、その状況になるまでは企業サイト内で足ります。

私たちのようにリモートで制作を行う体制が向かない場面もあります。社員の撮影や職場での取材が中心になる採用コンテンツは、現地で撮影できる国内の制作会社やフォトグラファーと組むほうが確実です。ページの構造設計、募集要項の運用、応募フォームと通知の仕組みといった部分は距離に関係なく対応できますが、撮影を含む企画は最初から切り分けて考えることをおすすめします。

よくある質問

採用ページを作れば、求人媒体への出稿はやめられますか。

すぐにはやめられません。自社サイトは「求人票を見た人が確認しに来る場所」として先に効き始め、検索からの直接応募が育つには時間がかかります。媒体を止める判断は、応募の経路を計測できるようにしてから行ってください。

募集していない時期は、採用ページを消したほうがよいですか。

消さないほうが扱いやすいです。ページは残し、現在の募集状況と、募集がない時期の問い合わせ方法を明記しておく形をおすすめします。ページを消すとURLが変わり、再開のたびに評価を積み直すことになります。

社員インタビューは必要ですか。

必須ではありません。優先度としては、募集要項の正確さ、職場の実際の写真、選考ステップの明示が先です。インタビューは、これらが整ったうえで、応募検討者が判断に迷う点を補う目的で足すと効果が出ます。

求人検索エンジンに掲載されないのはなぜですか。

職種ごとにURLが分かれていない、ページ内で職種や勤務地が判別できない、構造化データが実装されていない、といった理由が多く見られます。掲載可否は各サービスの判断によるため、実装を整えても保証されるものではありません。

応募フォームの内容を、既存の採用管理システムに入れられますか。

多くの場合、可能です。API連携やメール転送、CSVでの取り込みなど、対象システムが持つ受け口によって方法が変わります。新しく管理システムを販売するのではなく、お使いのシステムに接続する形で対応しています。

募集要項ページの構成や応募フォームの見直しだけでも、ご相談いただけます。Karkium Web はリモートで各国のプロジェクトに対応しており、日本国内に拠点や常駐の担当者はありません。撮影や現地取材を含む企画は範囲外となるため、その前提でお引き受けできる部分をお伝えします。

ほかの記事

プロジェクトを始める